もう30年も前の物語です。。。
福井出張でのトラブルにもメドがつき、、、
最後の夜を迎えた我がチーム。
あとは宿に入ってヌクヌクと過ごす、、、ハズだったのに、、、
実は それすらも、トラブルに含まれていたのでした。。。
ずいぶん前の文章ですが、おおむね原文ママです。
当時とは状況が違っている部分や、現在の公序良俗には反する部分もあります。
そのあたりは笑ってお許しいただければと思います。
====ここから本文====
暗黒の荒野のド真ん中にカエルの大合唱が響き渡っていました。
ほんの一角だけカエルどもが押し黙っている場所に、2台のクルマが意味の無いハザードを灯して止まっているのです。
「おいっ、あのバカ課長はどうしちまったんだ」
コッチのバカ課長が呟きます。
「誰か様子を見てこいよ」
「なんか一人でゴソゴソうごめいてますね。何やってんですかね」
ワタクシは、前方に停まっているアッチのバカ課長のクルマに向け、ライトをハイビームにしてみました。
すると、その車内には、この期に及んで信じられない光景が映し出されたのです。
「うをぉ!!ち・地図を見ていやがる!!」
エバって先導を引き受けたバカ課長、どうやら道が判らなくなったらしいのです。
ワタクシはクルマを降り、バカ課長のクルマににじり寄りました。
「どうしたんですか」
「こ・ここはどこ?」
「なに言ってるんすかぁ!!」
んもぉ任せてはいられません。
バカ課長から地図を取り上げ、コッチのチーム3人であーだこーだ言い合いながら走り出しました。
もうコンビニに寄るなどと言ってるバヤイでは無く、とりあえず●▼温泉の方角らしき方向に進むと、、
黙って後から付いてくるバカ課長のクルマ。
これじゃ、どっちが案内しているんだか訳が判りません。
ふいに、チンケな林の間から、マイクロバスが2台ほど止まっている建物が現れました。
バスのボディーには「●▼温泉」の文字。
ここだぁ!!
そこは、まるで不渡り手形でも出してしまった零細健康ランドの様な建物です。
ひなびた温泉宿などではありませんでした。
「ここだここだ。ここだった。んじゃぁオレが話をつけてくる」
急に威厳を取り戻したアッチのバカ課長が、エバりながら玄関に向ったのですが・・・
「カ・カギが閉まっているぅ!!!」
メンドーな事に巻き込まれたく無いらしく、バカ課長は逃げの体勢です。
「そりじゃ、確かに案内したからね。おやすみぃぃぃぃ」
誰一人、走り去っていくバカ課長に、労いの言葉を発するものは居ませんでした。
ほんの一角だけカエルどもが押し黙っている場所に、2台のクルマが意味の無いハザードを灯して止まっているのです。
「おいっ、あのバカ課長はどうしちまったんだ」
コッチのバカ課長が呟きます。
「誰か様子を見てこいよ」
「なんか一人でゴソゴソうごめいてますね。何やってんですかね」
ワタクシは、前方に停まっているアッチのバカ課長のクルマに向け、ライトをハイビームにしてみました。
すると、その車内には、この期に及んで信じられない光景が映し出されたのです。
「うをぉ!!ち・地図を見ていやがる!!」
エバって先導を引き受けたバカ課長、どうやら道が判らなくなったらしいのです。
ワタクシはクルマを降り、バカ課長のクルマににじり寄りました。
「どうしたんですか」
「こ・ここはどこ?」
「なに言ってるんすかぁ!!」
んもぉ任せてはいられません。
バカ課長から地図を取り上げ、コッチのチーム3人であーだこーだ言い合いながら走り出しました。
もうコンビニに寄るなどと言ってるバヤイでは無く、とりあえず●▼温泉の方角らしき方向に進むと、、
黙って後から付いてくるバカ課長のクルマ。
これじゃ、どっちが案内しているんだか訳が判りません。
ふいに、チンケな林の間から、マイクロバスが2台ほど止まっている建物が現れました。
バスのボディーには「●▼温泉」の文字。
ここだぁ!!
そこは、まるで不渡り手形でも出してしまった零細健康ランドの様な建物です。
ひなびた温泉宿などではありませんでした。
「ここだここだ。ここだった。んじゃぁオレが話をつけてくる」
急に威厳を取り戻したアッチのバカ課長が、エバりながら玄関に向ったのですが・・・
「カ・カギが閉まっているぅ!!!」
メンドーな事に巻き込まれたく無いらしく、バカ課長は逃げの体勢です。
「そりじゃ、確かに案内したからね。おやすみぃぃぃぃ」
誰一人、走り去っていくバカ課長に、労いの言葉を発するものは居ませんでした。
「すいませぇん!!!こんばんわぁ!!!」
しーん。
「さっき、予約のデンワを入れた者ですがぁ」
しーん。
室内には灯りが灯り、けっして誰も居ない訳ではなさそうなのですが。
「カチョー、どうします?」
「デンワしてみようか?」
「番号を知らないっすよ」
「良く見ろ。バスの横っちょに書いて有ったぜ」
「かけるったって、どこにデンワ器があるんですか。探しに行きますか?」
「んなメンドーな事してられっかよ。どっかから潜入しようぜ」
シゴトに疲れ、それに駄目を押してくれたアッチのバカ課長に疲れ・・・
そんな我々を暖かく迎え入れてくれたのは・・・・
半ば剥がれたモルタルの壁に沿って建物の裏側を徘徊しているうちに発見した、リネン室のドアなのでした。
とにかく、建物に入る事には成功したのです。
無人の廊下を彷徨いながら、ドヤドヤと進んでフロントらしき所に辿り着くと・・・・
無人のカウンターに、我々の社名が書かれたメモと、部屋のカギが置いてありました。
「なんだよう。建物に入れなきゃ意味無いじゃんよう」
ひったくるようにカギを拾い上げ、それでもホッと一安心です。
とりあえず、なんだか「宴会場(中)」といった感じの部屋に落ち着くと、次の難問を解決しなければなりません。
そうです。空腹なのです。
コンビニに寄れなかったので、食い物が無いのです。
「カチョー、どうします?」
「廊下のハジッコにさぁ、館内スナックがあったろう」
「確かにありましたねぇ」
「まだ営業してるフンイキだったぜ。カラオケが聞こえてたし。焼きウドン位は出してくれるんじゃないか?」
「さっすがカチョー!! 行きましょう食いましょう」
再び廊下をドヤドヤと行進し、怪しげな紫色の曇りガラスに覆われたスナックの前に立ちました。
中の様子をノゾき見る事はできませんが、間違い無くカラオケらしき音も聞こえてきます。
妙に弱々しい、国籍不明のユッタリした曲でした。
「なんかフンイキがブキミですよ。ボラれませんかねぇ?」
「よぉしっ。オレが様子を見る」
課長はまるでスパイかデバガメのように、妙にカラダをよじりながら少しだけドアを開け、そして中を覗き込みました。
「・・・・・・・」
「カチョー、どうですか?」
「ダメだ」
ワタクシもコゾーも、その理由を聞く気にはなりませんでした。
さすがに温泉宿だけあって、とてもキモチイイ風呂でした。
建物の外観からは想像できないリッパな大浴場で、我々3人で貸切り状態だった事もあり、広々とした感じが妙にユッタリ気分なのです。
コゾーと2人で湯船につかり、身も心もトロけておりますと・・・・・
課長が、洗い場でなにやらゴソゴソやっています。
「カチョー、なにしてるんすか?」
「パンツ洗ってんだよ! パンツ!」
「えっ?オモラシでもしちゃったんですか?」
「ばかやろう。んなワケないだろう! もうパンツが足りねぇんだよ」
「足りないって、ボクはコンビニで買い足しましたけど・・・」
「コゾー!! 誰のせいで足りなくなったと思ってんだ!!」
「す・すみません」
「まあまあ、もういいじゃないですか。ところでカチョー、パンツを全部洗っちゃって、どうするんです?」
「朝までには乾くだろう」
「今夜は」
「うるさい。ナマ浴衣だ」
「バッちいモノが見えちゃいますよぉ」
「じゃあ、オマエラのパンツ貸せ!!」
こんなアンバイで、穏やかに、そして知的に語り合う我々にも、風呂上りには現実が待っています。
そうです。餓えです。
「カチョー、缶ビールをゲットできました。自販機は、深夜の販売停止になってないっす」
「よっしゃぁ。じゃあ、今夜は麦の流動食でしのぐか・・・・・」
「あのぉ・・・」
「なんだ?コゾー」
「コレ、どぉっすか」
コゾーが差し出したのは、イカの形をしたセンベイでした。
普段から、絶え間なくオヤツを食っているコゾーの習性が幸いし、その備蓄が我々を救ったのです。
「おおっ!!ソレは素晴らしい!!生きて帰れるぞぉ」
大いに喜んで、踊るようにイカセンベイに飛びつく課長。
そしてイカの形の後光がさした5枚のセンベイは、上司部下の分け隔てなく、公差5ミリの範囲内で3分割されました。
実際には、そんなセンベイはオシメリ程度の役割しか果たさず、長く辛い夜が明けました。
とっとと宿を出れば、あとはコンビニを探すだけです。
ヨダレまみれのフトンを部屋のスミに蹴飛ばしながら、課長が呟きました。
「なあ、この宿で朝飯、食えないだろうか?」
「ムリじゃないっすか? メシ無しの素泊まりって聞いてますよ」
「何でも勝手に決め付けちゃイケない。確認しよう」
部屋のデンワ器で、フロントに内線をかける課長。
「もしもしぃ?朝飯、食えますか?」
「はいはい。どうぞ食堂に・・・・」
カチョーは、小躍りしながら我々に叫びました。
「おいっ!!食えるってよ!! 行こうぜ。コンビニのメシより上等だ!!」
3人で食堂に入ると、4人掛けのテーブルに案内されました。
「なかなかンマそうじゃん。食おうぜ」
アリキタリの質素なメシでしたけれど、前日の昼飯以来のゴハンです。
もう、五臓六腑から海綿体にまで染みわたる美味に感じられました。
散々にオカワリし、ハラも落ち着いたところで出発です。
ワタクシとコゾーは一足先にクルマに乗り込み、会計を済ませている課長を待っておりました。
やがて玄関から、課長が走って出てきました。
小走りなどというナマヤサシいモノではなく、全力疾走なのです。
課長は、なだれ込むようにクルマに乗り込むと
「おいっ!!早く出せ!!出発出発!!」
などと急かします。
「どうしたんですか?」
「いいから走れ!!」
クルマが、あの大平原に差し掛かりました。
暗闇の中では荒野にも思えたソコは、朝日に輝く田園風景に変わっておりました。
さすがにカエルの声も消え、あたり一面に静寂が広がっております。
そのノドカな光景を眩しそうに見つめながら、シミジミとした笑顔を浮かべる課長。
「なあなあ、得したぜ」
「何がですか」
「タダだよ。タダ!!」
「えっ?まさか会計しなかったとか・・・・」
「あほぉ。そんな事するかよ。メシがタダだったんだよ」
「マジすか?」
「うん。宿泊料金しか請求されなかった」
「ま・まじでですか・・・・・・」
相変わらず、
「我々を閉め出した事に対する、お詫びのサービスだ」
「朝飯は、宿泊料金に含まれてるのでは?」
などと分析しあっている課長とコゾーの会話を聞き流しながら、
ワタクシには、ちょっと引っかかる事がありました。
我々が食堂で案内されたテーブルには、メシが4人分置いてあったのです。
そして我々が3人で座ると、一人分を、係りのオバチャンが持ち去ったのでした。
「アレって、もしや・・・・」
たぶん間違い無いでしょう。
課長がフロントに確認した際、行き違いがあったと思われるのです。
「もしもしぃ?(予約してないんだけれど、)朝飯、食えますか?」
「はいはい。(予約の分の朝ゴハンは既に用意出来てますので、)どうぞ食堂に・・・・」
このカッコの部分が抜け落ち、お互いに思い込みの会話だったに他なりません。
おそらく今頃、あの温泉旅館では・・・・・・・
4人連れの3人だけが食いっぱぐれて、ひと騒動おきている事でしょう。
ワタクシは、その考えを口には出しませんでした。
なぜなら、何だかんだ言いながら、実は課長も同じ事を考えているに違いないからです。
そうでないと言うのであれば・・・・・・
課長が慌てて旅館を飛び出してきた事実に、全く説明がつきませんから。
この記事へのコメント
narayama2008
なかなか面白い、というかユニークな体験をされたのですね。
事故などがなかったのは良かったですね。
それにしてもカチョーさん、ビールを麦の流動食とおっしゃったのは思わず笑ってしまいました(^^)
凡・ハヤト
朝ゴハンは大切ですからねぇ。(^^)
おぎひま
ビールは麦の流動食、、、
日本酒はコメの流動食、、
このタトエは、今では我が家でも活用しております。
焼酎はイロイロですね。
おぎひま
特にトシヨリは、朝ごはんを食べないと目が見えないそうです。
ドキッ!!
かにょにょ@横歩き
他のお客さんのあさごはんを食べたのですね!逃げるが勝ちですね(笑)
私のひもじい旅の思い出は、民宿でごはんのスイッチを入れ忘れておかずを前にして1時間待ったことがあります(笑)
おぎひま
そういう事でしょうね。。食べちゃったんです。
3食分ぐらいなら、ヨビがあったと信じたいです。。
食堂などでも。注文の品がなかなか出てこないと
「今、ゴハン炊いてるんだよ」
「今、サカナと釣りに行ってるんだよ」
などと言うオヤジギャグがありますけれど、、
ホントにソレだったのですね。それはオイタワシいです。。