20世紀最後の年・2000年8月。
前月に続き、再びシンガポール出張に出向いたワタクシ。。
緊急ではなく、、最初からそういう予定でした。
新婚だというのに、カミさんと過ごす夏休みはありません。。
それはサラリーマンのサダメ。。置かれた場所で咲きましょう。。
これもメインサイトからの転載。原題は「続・南国ワーク」です。
前作同様、原文があまりにもラクガキ文体だったので、
所々を修正し、一部は割愛しています。
時代も古く、内容に情報的な価値はありません。
マヌケな昔話として読んでいただければ幸いです。。
写真は、ワタクシが写ルンですで撮影したものです。。
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またまた憂鬱な日々、、、シンガポール出張の第2弾に出発しなければならない。
なんだかんだ言いながら、少しは楽しみなんじゃないかって?
と・とんでもない!! なにもかもが気にいらない。
でも、、いまさらガタガタ言ってもしょうがない。
すでに出国手続きも済んだし、免税店でタバコも買っちゃったし。
今回は名刺もキッチリ持ってきたので、恐怖のネームカード君も恐くない。
正式に言えば、最初の一撃だけで済むと言う事になる。
どうだ!! 学習能力はバッチリなのだ!!
今回は味噌汁だってこぼさなかったし。。
しかし、、、
これから始まる7時間の奴隷シート&禁煙地獄。。。
着いたら着いたで、発狂しそうになる強烈な日差し&ゲロ暑さ。。。
日本語の会話が出来ない孤独感。。
完全につぶれる夏休み。。。
全ての事にストレスがたまるし、気が重い。。。
おっと、いまさらガタガタ言ってもしょうがないハズだった。
夏休みの激混みを予想して、わざわざ箱崎から来たと言うのに、、、
成田の出国カウンターはガラガラで、搭乗口付近も静かなものだった。
目の前で、怪しい黄色人種(最初は日本人かど思った)のカップルがブチュブチュやっていやがる!!
人前でそういう事をやるヤツなんて、絶対ロクなヤツじゃない。
少しは恥を知りなさい!!
コッチだって新婚なのに。。。うらやましいよう!!
【注釈2023】
当時は、箱崎のシティーエアターミナルで、出国手続きが出来ました。
それを済ませておけば、リムジンバスが遅れてもダイジョーブ。
飛行機を待たせてくれるんです。
荷物も預けられてラクチンでしたし。
アメリカの同時多発テロの影響で、セキュリティー上の問題から廃止になりました。
【ここまで】
(ホテルの近くの中華街風の町並み)
全日空901便。
出発間際にドヤドヤと現れた団体で満席。ほとんどが日本のツアー客なのだ。
オコチャマも多く、機内を走り回っていやがる。
うっとうしいと言うよりも、、、何気にウラヤマシい。。
じっと座りっぱなしの辛さが耐えがたいのだ。
まさかオコチャマと一緒に走りまわる訳にはいかないし。。。
苦悩の時間にも必ず終わりが来るもので、、シンガポール着。
「う~!!ヤニィ!!」などと叫びながら、団体客に紛れてノーチェックで税関を突破。
タクシー乗り場脇の灰皿を目指す。
7時間ぶりのタバコに感激しながら、ボンヤリとタクシーを見つめる。
団体客が多いせいか、タクシーの方が余っていて、案内役のオッチャンもヒマそうだ。
すると、タクシーの列の中に、前々から気になっていた、ベンツのタクシーの姿が!!!
他の客に順番を譲ったりして調整し、みごとベンツをゲットできた。ラッキー。
同じ料金なのだから、ベンツタクの方が良いに決まっている。
なにしろフツーのタクシーがボロすぎるのだ。
ほとんどが日本車なのだけれど、ボコボコの旧型車だったりする。
もっとも、タクシーだけがボロい訳では無く、フツーのクルマも同じようなものである。
コチラでは10年ごとに車検のような物が有り、これがオニの様に高額なのだそうである。
従ってホイホイと買いかえる訳にはいかず、新車で買ってもキッチリ10年は使うそうな。
その結果、一昔前の車種が目白押しとなってしまっているのだ。
ぶつけた少々のヘコミなどは直す習慣が無いらしく、タクシーであっても結構ボコボコだったりする。
まあ、個人的には日本の方が異常な気もするのだけれど。
快適に高速を走るベンツタク。
見慣れた怪しい中華街風を通過し、いよいよホテルについた。
ここでも学習能力を発揮し、オロオロと手間どった前回の10倍のスピードで部屋の中に。
言葉など通じなくても、要は気合なのだ。
(またこないだのヤツだと覚えられていて、あえて何も聞かなかっただけかも)
ホテルの窓には、懐かしい風景が広がっていた。
まあ、前回から一ヶ月も経っていないので懐かしいと言うのは間違いかもしれない。
あれからずっと滞在していたような錯覚さえも覚える。
激しくイヤな出張だけれど、ここまで来たらしかたが無い。
さあ!頑張るぞぉ!!!!
待っていやがれ、ネームカード君!!
出勤初日は、朝から雨だった。
しかも、スコールの様なオラオラ型の雨ではなく、、、
日本の梅雨を思わせる、シトシトねっとり、何か女々しい雨!!
こんなのはシンバポールでは初めてで、、ヨロシくない予感が漂ったりする。
天気と運気が連動する訳が無いと言い聞かせ、速攻でタクシーを捕まえる。
『グットモニングウウウウッ!!』
何気に男らしい叫び、、、高倉健さんの様なオモモチの運転手だった。
ERP(繁華街を通過するクルマへの、通過料金自動徴収システム)を避けて迂回し、
チャッカリ通過料だけせしめる運ちゃんが殆どだったのに、この健さんは真正面から突入した。
その男らしい行動により、いつもより格段早く高速に乗る事が出来た。
日本では死滅した、速度警告音をキンコンと響かせながら、男らしくかっ飛ぶ健さんタクシー。
こちらの高速では、バイクの2ケツやトラックの荷台に人を乗せての走行などはアタリマエ。
しかしこんな雨の日には、さすがに荷台乗車は居ないようだ。
と思ったら・・・
どこにも、気合が入っている人は居るのだ。
一人で荷台にふんばって傘までさし、まるで台風レポーターの様な形相で頑張っているのだ。
【注釈2023】
当時の日本では、バイクの二人乗りでは高速に入れませんでした。
2005年から、それはOKになりました。
トラックの荷台乗車は今でもダメです。キケンです。
【ここまで】
この健さん、男らしいけど道を知らないらしい。
地図など出して、考え込んでいる。
しかし大丈夫!!なんせ今回のワタクシ、学習能力に満ちあふれている。
百戦練磨とまでは言えないけれど、10戦全敗くらいの実績はある。
道順だって覚えちゃっているのだ。
「そこ右!!そこ左!!」
『判りました。不器用ですから。』
男らしく地図をしまい込み、男らしく指示に従ううちに無事に到着。
どうだ!!
無事に到着し、、、いよいよ問題の守衛所へ。
おおっ!!いるいる!ネームカード君だぁ!!
『名刺を出しやがれ!!』
へへん!!ちゃんと用意してあるのだ。
名刺を受け取ると、まるで人が変わった様におとなしいネームカード君。
入門票の書き方なども優しくアドバイスしてくれるではないか!!
ところが・・・・・
『おいっ、コンピューターは持って来ていないだろうな!!』
えっ? 先月はそんな事聞かれなかったのに・・・
「な・ないですよう!!!」
『オラァ! 荷物を見せやがれ』
ここは税関よりも厳しいぞぉ!!
『キ・キサマ!! 何だこれは!! ウソつきやがったなぁ!!!』
ワタクシのカバンの中に入っていたモバイルギアを発見するや否や、
それを取り上げて、一気に恐怖黒人に豹変するネームカード君!!
「そ・そりは・・・・」
なんて説明すればいいんだよう!!
【注釈2023】
モバイルギアとは、今で言うとノートパソコンの簡易版みたいなもの。
当時はスマホなど存在せず、出先でのメール送受信などに活躍した。
携帯の機能向上やノートパソコンの小型化により、存在価値を失って消滅した。
【ここまで】
しかし何でまた、このようなチェックを。。
会社備品のPCなどを盗んで持ち帰るのを防ぐ為に、自前の持ち込み品は事前に確認する意図らしい。
しかし、、先月はまったくチェックされなかったのだ。
システムが変わったのだろうか?
前回はワカランチンだったから、確認するまでに至らなかったのだろうか?
今日が土曜日(休日)だからだろうか?
それとも・・・
このネームカード君、とにかくワタクシをイジメなければ気が済まない為にイヤガラセでやっているのだろうか。。
理由はともかく、またまた今回も苦境に陥ってしまったのだ。
ああ、これで11敗目だぁ!!!!
などとグッタリしていると・・・・・
『どないしたんでっか?』
おおっ!! 定時大好きのミスター・ワンが登場!!
ワタクシがなかなか来ないので、わざわざ守衛所まで様子を見に来てくれたのだ。
『ネームカードはん、このお方はワテの客でっせ!イジメたらあきまへん!』
た・たすかったぁ・・・・
全ての書類をミスター・ワンが処理してくれ、守衛所を突破。
やったぁ!!
でも、負けは負けである。
もっと学習せねばぁぁぁ!!!
(ホンモノの中華街)
出張2日目にして、、いきなり休日となった。
こんなハズではなかったのだけれど、
『明日は日曜ですねん!来たらあきまへん』
ミスター・ワンの命令があったのだ。
事前に、日曜もシゴト出来る約束だったのに・・・・
定時退社が大好きな彼、2日連続休出などは耐えがたかったのであろう。
彼に逆らうのは得策ではなく、泣く泣くムダな1日を過ごす事に。。
こうなったらしかたが無い。
せっかくだから出歩く気持ちと、クーラーが利いた快適な部屋でウダウダする気持ちが交錯する。
決断は他人任せであった。
掃除のオバチャンに追い出され、前者を選択する事となったのだ。
伊勢丹に行けば無料マップが有ると聞いていたので、早速ガメに行く。
う~む・・・さすがタダだけあってセコすぎるけど、何も無いよりはマシではないか。
そんな地図を頼りにチャイニーズタウンに。
ここには前々回に来ていたのだけれど、その時の足はタクシーやバス、
今回は気合を入れて徒歩で辿り着いた。
やはり歩きだと、場所場所の位置関係が非常に良く判り、、
やたら懐かしい光景の一つ一つに感激してしまう。
わざわざチャイナタウンに行かなくても、この国は殆どが中華している。
ホテルの近くにも怪しい中華街風があるし。
しかし、、ホンモノの中華街は、怪しさのレベルが全然違うのだ。
リトルインドもアラブストリートも、なかなか怪しさに満ちあふれていたけれども、
やっぱり中華街こそが、怪しさのホームラン王なのだ。
ズラっと居並ぶ、怪しいパクリグッズの数々、、、
キティーちゃんはアタマが小さくて、逆に違和感があるのだ。
ポケモンのピカチューに至っては、何と白目が有るではないか!
わざと狙っているのかと思う程に怪しい。
ボロいビルの、飯屋が集まったフロアに向かうと、
屋台のような店がウジャウジャひしめいている。
それぞれの店で注文し、共用スペースのテーブルで食うフードコート式なのだけれど、
どこのテーブルもタイガービールが林立している。
コークしか置いてない、ホテル近くの中華街風の店どもよ、、、
コレが清く正しい正しい中華街だ! 反省したまい!!
ビールどころか、勝手に(?)パーティーなどを開いてるグループまでいるではないか!!
手作りケーキなどを、デーンと置いているグループまである。
ここで、カレー味のパーコー麺を発見!! さっそく食う。
日本の「カレー+ラーメン」を想像してはダメで、まったく別物なのだ。
でも、それがウマいんだからモンクは無い。
何とも言えないマッタリ感!! そして適度な辛さ! ンマイですぞぉ!!!
しかもたったの2シンガポールドル(当時で140円ぐらい)なのだ。
オーチャードの「味自慢ミソラーメン13ドル」、反省したまい!!
期間限定でフリーマーケットまで出ている。
ただでさえ怪し過ぎるチャイナタウン、それだけにフリマの怪しさは天下逸品。。
思わず、中華風ネコ型キュウスを5ドル(約350円)で購入!!
果てしなく怪しいよう!
(初めてのシンガポールで買った、お茶セット。食器棚のコヤシになってます)
さらに、怪しいホリデイはつづくのだ。
チャイナタウンを後に、ウッドランズを目指す事にする。
そこは国境の街。そこから橋を渡れば、マレーシアのジョホールバルなのだ。
5年前にイキオイでマレーシアに徒歩で渡った際は、テキトーにバスで辿り着いたのだけれど、
その後MRT(地下鉄。ただし、都心部しか地下に潜らない)が開通し、
今回はそのMRTを利用した。
当時は、とてもシンガポールらしくないゴチャゴチャした街で、
古い平屋が立ち並び、ある意味でアジア的な喧騒に満ちあふれていた。
マレーシア側のジョホールバルが「巨大都市国家への入り口の街」であるのに対し、
ウッドランズは「まったく郊外の、しかもイナカ国家への出口の街」なのだからしかたあるまい。
でも、その怪しさが良かったのだ。
それが・・・・
いざMRT到着してみれば、全然雰囲気が違っている。
延々と、そして整然と立ち並ぶ巨大団地群、、、
整備された駅前には大型のショッピングセンター、、、
MRTの開通と共に、マレーシアとは無関係にベッドタウンとして再開発されてしまったのだろうか。
駅とショッピングセンターをつなぐ広場は都会的な人々で埋め尽くされ、
フルートを奏でるストリートミュージシャンに次々と小銭が投げ込まれる。
もうこの街には、何も魅力は無さそうだ・・・・
真新しいバスターミナルを覗くと、、そこに止っているトレーラーバスを発見!
このバス、オーチャード界隈でも見かけるのだけれど、フツーの4輪バスに2輪の客席だけのバスが繋がっている。
走ってるのを横から見ると、「ヘ」の字になったり「V」の字になったり、
かなり過激な乗りごこちが期待出来そうで、前々から乗ってみたかったのだ。
2階建バスもあるけど、それは東京にも走っているし。
行き先を見ると「マリーナなんたらかんたら」と書いてあり、どうやらシティーホール(都心部)の近くのようだ。
ようしっ、乗っちまえ!!
「あのぉ・・・終点までいくらですかぁ?」
運転手は、石森章太郎そのものズバリのおっちゃんだった。
『えっ?どこだって?ロボコン!!』
「マリーナなんたらかんたら」
『マリーナセントラル? 1ドル60セント!! サイボーグ009!』
「うっ!小銭が10セントたりないんですけどぉ・・・」
『ツリなんか出せるか!! 仮面ライダー!!』
結局、泣く泣く2ドルを投入。
クルマ酔いする人の訓練には最適で、、、ボンボン跳ねちゃうトレーラーバス。
すさまじいエンジン音の割にはトロく、フツーのバスに次々と抜かれていく。
ヘビの様にクネクネとうねりながら車線変更し、右左折の際には何車線も塞いじゃう大迷惑な走り!!
しかし、自分が乗っている場合はこれが快感なのだ。
ベンツもBMWも、オロオロとせき止められるしか無いのであった。
【注釈2023】
しかし、このシンガポールの運ちゃんのようなカッ飛び走りをしなかったので、
ボンボン跳ねるような乗り心地は楽しめなかった。。無念。。
【ここまで】
島国シンガポールとは言え、縦断するとなると結構時間がかかる様だ。
ましてやトロいトレーラーバス、ついつい居眠りをしてしまい、、、、
目が覚めると、自分を除く最後の客が降りていく所だった。
ヤバイ、終点だぁ!!
そのように思い込んだワタクシは、慌てて後に続いて降りる。
あ・あれぇ? ココは終点では無いみたい。。。
石森章太郎が怪訝そうにこちらを見ている。
『終点までじゃ無かったのかい?キカイダー!!』
まあいいや。
今更こっぱずかしくて戻れるか。
と思いつつ、ここはどこだろうと地図を確認すると。。
先月、アラブストリートの帰りに道に迷い、延々と逆方向に進んだあげくにたどり着いた地点、、、
まさにその場所だった。。
これは偶然なのだろうか。
それともここは、ワカランチンがたどり着くサルガッソ海のような墓場なのであろうか!!!
こういう時は、あせってはいけない。
前回はオロオロとさまよい、果てしなく時間と体力を消費しながら汗まみれで帰ったのだけれど、
今回はイイカゲンながらも地図が有る。
最寄りのMRTの駅を目指して、気軽に歩けばソレで解決となる。
再度、地図を見ると、駅までそれほど遠くない事が判った。
おや? マーライオンも割とココから近い。
せっかくだから、いっちょ寄ってきますか!!
ついでにボートキーも、、、、さらにコリア街も、、、
こうして、前回以上に体力を消耗してしまったのであった。
明日から、再び南国ワークが再開だと言うのに・・・・・
(コレに乗りたかった! トレーラーバス)
この記事へのコメント
ジュン
ご苦労様です
おぎひま
なかなか良い思い出です。
懐かしい限りです。。