国境越え・ブログ版【2】シンガポールへの帰還は、、、マレー鉄道で!


さて。シゴトをサボってマレーシアへの入国を試みた、ワタクシども3人。
ワタクシ以外の2人が、マレー側のイミグレーションで、引っ掛かってしまったんです。
異国の地ですから、とっても心細いですが、、
果たして、、無事にソレを突破できましょうか。
引き続き、、メインサイトからの転載、、、原文ママでお伝えします。
遠い昔の、バカっぱなしでございます。。

(ジョホールバルの街並み)
joho4.jpg

写真は、メインサイトを読まれた入江寛さんから、関係する写真をご提供いただきました。
(写真の版権は入江さんに帰属します)
ワタクシどもが旅した時期に比べると、かなりハッテンしたイメージがあります。

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マレーシアの南端にあり、マレーシア第2の都市でもあるジョホールバル。
日本が初めてのサッカー・ワールドカップ進出を決めた試合が行われた街でもある。
我々がシンガポールからコーズウェイを渡って辿り着いた街が、そのジョホールバルだった。
ワールドカップの最終予選などは後の話で、当時の我々には全く未知の街。
そんな異国の地で、たった一人で立ち尽くすワタクシ・・・・

「おまたせっ」
ふいに、カワダがヤマダを従えて現れた。
「ど・どうした! な、何があったのだ!」
カワダによると、やはり制御基板に難クセがついたらしい。
係員は
「コレが何なのか説明しろ!」
「ナメてんのか?ココは税関だぞ!!」
「イイカゲンにしないと連行するぞ!!!」
などと怒鳴り散らしながらカワダを攻めたものの、ノラリクラリと日本語でしか答えないカワダに対し、
「日本語は判りましぇん。お願い、とにかく英語で喋ってぇ!!!!」
遂には哀願調になってきたらしい。
それでも
「アイ、キャン、スピーク、ジャパニーズ、オンリー」
まったく応じないカワダに痺れを切らした係員は、
「判ったよぉ、もうイイよぅ」
そんなような事を呟きながら、イミグレーションの出口の方を指差したというのだ。
制御基板も没収されずに。
「やるじゃん」
「まあね。どうせ動かない基板だから、没収されたらされたでイイやと思って」
ううむ、強気が功を奏したらしい。
ただし、こういう手口がいつでもどこでも通じると思ったら大マチガイだろう。
くどいけれど、カワダは後に韓国から強制退去を食らっているのだから。

(ジョホールバルの町並み)
joho5.jpg

やっと3人が揃い、ジョホールバルの街に繰り出す。
「何も買うものなど無いかもしれないから、両替するのは少し待とう」
そんな事を申し合わせ、まずはショッピングモールのような建物に入ってみた。
薄暗くてゴミだらけの階段の踊り場には何人かの男がタムロしていて、我々に視線を投げかけてくる。
「なんか怖いなぁ」
「うん。シンガポールが懐かしい」
カワダもヤマダも同じような感想のようで、なんだか少しホッとする。
「とにかく、メシを食おう」
そうだった。ヘンなトラブルですっかり忘れていたけれど、まだヒルメシも食っていなかったのだ。
とは言え勝手が判らず、アチコチを右往左往した結果、ハンバーガーショップに入った。
いわゆるマクドナルド風で、前払い・勝手に座って食うというカフェテリア式。
支払いはシンガポールドルでもOKという事だったのだけれど、なんだかおかしい。
マレーシアの通貨RM(リンギット・マレーシア)で書かれたメニューの金額を見て、4RMをシンガポールドルで払おうとしたら
「4シンガポールドルよこせ」
と言うのだ。
これでは通常のレートでいうと、倍くらい払う事になる。
「なんだかボッタクリだぜ」
「どうする? 頼んだハンバーガーは出来てきちゃったし・・・」
「仕方が無い、もういいよ。RMなんて持ってないんだし」

結局、言われるままに払うと、オツリはキッチリとRMでよこしてきやがった。
高額を払わされた割にはフツーの味のハンバーガーやらポテトやらを食らいながら、かなり気持ちは萎えてきた。
「なあ、もう帰ろうぜ」
「うん。異議なし」
「でもさぁ、ちょっと気になるんだけど・・・・」
カワダは、再びあのイミグレーションを通るのがイヤだというのだ。
「そんな事言ったって」
「よしっ。じゃあ、マレー鉄道で帰ろうぜ」
マレー鉄道とは、タイとの国境にあるパダンブサールを起点にマレー半島を横断し、シンガポールに至る鉄道だ。
当然ながら、このジョホールバルにも駅がある。
「そりは面白い」
「異議なし」
と言う事で即決し、駅をのぞきに行くと1時間半ほど後にシンガポール行きが出る事が判った。
一日に5~6本しか運行していないので、これはラッキーと言うしかない。
「やった! シンガポールに帰れる」
「うん。さらばマレーシア! もう2度と来ないぞ!」
「ジョホールバルよ、もう我々には関わり無く勝手にニギわっていなさい」

シンガポール行きのキップを売るのは出発30分前からという事なので、駅の近くのフリーマーケットのようなモノを覗いて過ごす。
ズラっと並んだテントの中には、民族衣装やらフツーの服やら怪しげなオモチャやらがビッチリと並び、なかなか楽しい。
きっと、慣れればココだって魅力的な街に違いない。
居心地の悪さは、我々の自爆なのだ。
フリーマーケットの佇まいを眺めながら、妙にユッタリとしたひと時をココロ穏やかに過ごした。
いざ駅に戻る時は、何だかこの街が名残惜しくなったりするからフシギだ。
実際にカワダは、次のシンガポール出張時にもジョホールバルに再訪した事を後に聞かされた。

(ジョホールバル駅)
joho2.jpg

キップを買うと、ギッチリと並ぶと言うよりはダンゴ状に固まって改札の開始を待たされた。
ほどなく銀色のディーゼルカーがホームに入ってきて、いよいよマレー鉄道に乗車となる。
我々の乗った3等車は4人向かい合わせの座席だった。
適度に背もたれにも傾斜がついていて、往年の国鉄急行列車よりもイゴコチがいい。
車内はほぼ満席で、我々3人はバラバラに何とか席を確保できた。
出発して程なく、ワタクシの向かいに座った中華系のオッサンが話しかけてきた。
英語なのであまり意味は通じていないものの・・・・
マレーシアに住む医者である事、日本にも行った経験がある事、またマレーシアに来やがれという事、
とにかく一方的に話し続けた。
自分の名刺まで渡してきたので、コチラからも何か・・・・
バックに入っていた携帯ティッシュに東京の風景写真が印刷されていたので、ソレをプレゼントしてみる。
「おお、サンキュー」
中華センセーは即座にティッシュの口をあけると、いきなり臭いをかぎ、
「なんだ、何のニオイもしないじゃないか」
そんな素振りで、少し失望した顔をした。
そうか、東南アジアは臭いの文化でもあったのだ。
ティッシュは臭いつきがアタリマエで、米にだって臭いがついているし。
おそらく中華センセーは、先進国・日本製のティッシュの臭いに、大いに期待したのかもしれない。
ツマラぬものを献上してしまった。

やがて、車掌が入国カードを配りに来た。
そうか、またまた書かねばならないんだった。
イイカゲンに慣れてきたので、何の事無くテキトーに書いていると・・・・
「エクスキューズミー」
声の主に目をやると、マレー系の大男が突っ立っている。
自らのパスポートと入国カードを鷲づかみにして突き出し、怪しげな笑みを浮かべているのだ。
「オッケー」
中華センセーは全てを知り尽くしているようにソレを受け取ると、大男に2~3の質問をしながら、ササッと入国カードを書き上げた。
なるほど、この大男も文字が書けないのだな。
こういう手法のほうが、代書屋にゼニを払わなくて済むのだろう。
ただ、公衆の面前で
「アタシ、字が書けないんですぅ」
などと宣言しているみたいで、なんだか少しコッパズかしい。
しかしシンガポールという都市国家は、こういう人たちに支えられている一面もあるのだろう。


列車はタラタラと進み、いきなり降り出した激しいスコールに迎えられてシンガポール駅に到着した。
シンガポール領内でもマレー鉄道はマレーシアの所有物なので、駅が事実上の国境となる。
改札口と共に、ココのイミグレーションを通過しなければならない。
まさに改札口と代わり映えしない簡素な作りで、違う事と言えば、大きな犬の入ったオリの脇を通らされる事だった。
たぶん麻薬犬か何かだろうが、まさかタバコには反応しないだろうかという一抹の不安も考えすぎで、アッサリと通過。
「ただいま。帰ってきたぞ! シンガポール」
「ああ。一時はどうなる事かと思ったけど」
「ホッとしたらハラが減った。あんなバーガーだけじゃ足りねぇよ」
「よっしゃぁ。んじゃあ帰国祝いをしよう」
スコールの中、タクシーを走らせて和食レストランに向かう。
流れていく街の灯りが、車窓の雨粒に眩く光る。
「平和にカンパァイ」
「そうだ。平和がイチバンだ」
そんな事を口々にホザいて平和を噛み締めあったハズなのに・・・・

それから数日後。
日本への帰国の飛行機の中で、スッチーとの見苦しい対決が待っていようとは。
その話は、スッチーバトルをご覧くださいませ。

(マレー鉄道シンガポール駅)
sin.jpg

【追記 2023年6月】
こんな感じで、、、マレーシアには、ホントに行って帰って来ただけ。。
まるでピンポンダッシュのような訪問でした。。
それでも、非日常のオンパレードで、なかなか良い思い出ですよ。
今度は、シンガポールからマレー鉄道の寝台列車にでも乗り、
タイのバンコクあたりまで、異国の列車の旅でもしたいものです。
そしたら、、、
ななんと、2011年に、、シガポール側の路線が廃止されてしまった模様です。
今では、国境の街・ウッドランズが終着駅なんですって。
もちろん、ソコからマレー鉄道の旅が出来る訳ですが、、
シンガポール駅から乗ってこそ、いっそう気分が盛り上がるハズでした。
無念。。

廃線跡は、まだまだ線路が残っていたり、、、
サイクリングロードになっている部分もあるそうです。
コチラのサイトで、それが確認できました。

マレー鉄道の廃線跡と廃駅が遺る ブキッティマ駅(シンガポール)
mare.jpg



この記事へのコメント

  • narayama2008

    こんにちは。

    面白く読ませて頂きました。
    団体ツアーでは体験できない事ですね。シンガポールに戻れてよかったですね(^^)
    2023年06月01日 10:39
  • ジュン

    若い時の経験は
    きっと今役に立っていることでしょう
    お若いのに経験多過ぎで羨ましいです
    2023年06月01日 12:05
  • かっちゃん

    過ぎ去ってしまえば何事も懐かしい思い出ですね。
    シンガポールはきれいな町らしいですが、行ったことありません。
    マレーシアは半島マレーじゃなくてボルネオに登山で行ったことあります。
    入国カードは言葉が分からないとメンドーです。
    ラオスに行った時にお役人がチップ!チップ!と催促して代筆してくれた。
    ガイドによるとラオスは賄賂の国なんだとか。
    2023年06月03日 13:50
  • おぎひま

    かっちゃんさん、コメントありがとうございます。

    ワイロの国、、まったく通じない国、、、
    色々ありますね。。
    フィリピンや、かつての韓国も前者でしたでしょうか。
    ハワイのコンビニに酒類を買いに行ったら、
    それらの販売は23時までと断られました。
    そしたら、、、同行者がササっとワイロを渡そうとしたら、、
    店員はホントに目を丸くして、コノヨノオワリ的にビックリされました。
    ヘタしたら通報されたかもしれません。。
    2023年06月03日 15:38
  • おぎひま

    narayama2008さん、コメントありがとうございます。

    ツアーだからこそ見れるポイントもありましょうし、
    それぞれを活用すればいっそう楽しいでしょうね。
    これはこれで、とっても良い思い出になりました。
    2023年06月03日 15:45
  • おぎひま

    ジュンさん、コメントありがとうございます。

    いやいや、おハズカしい限りです。
    とっつかまってカイシャにバレたら、
    重いっきいタイヘンなことになったハズです。。
    どきどき・・
    2023年06月03日 15:47
  • 山ちゃん

    今晩は!
    いや~あっ、ご無事にシンガポールに戻れて万々歳でしたね。これで、シンガポールがどれほど平和な国なのかハッキリしましたでしょう(^_-)-☆
    でも、インド人が暗躍する地下室などもあって怖い所もありました。
    それに、スコールで水浸しになる所があるので、余り市内から外れない方が安全でしょうね。
    2023年06月06日 21:15
  • おぎひま

    山ちゃんさん、コメントありがとうございます。

    確かに、シンガポールでも怪しげな地帯はありました。
    どこの国でも、そういう所には近づかないのがイチバンですね。。
    2023年06月07日 07:17

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