国境越え・ブログ版【1】歩いて越境! シンガポールからマレーシア・ジョホールバルへ!


これもまた、メインサイトに掲載された記事、、、
今回はシンガポールでございます。
社員旅行ではありません。出張です。
でも、、、トラブルが発生し、、、
オナジミのドタバタ旅行記になってしまいました。
ずいぶん前のハナシなので、情報的な価値はありません。
マヌケな読み物と考えて頂ければと思います。。
(ジョホールバルの町並み)
joho3.jpg


写真は、メインサイトを読まれた入江寛さんから、関係する写真をご提供いただきました。
(写真の版権は入江さんに帰属します)
ワタクシどもが旅した時期に比べると、かなりハッテンしたイメージがあります。

ーーーーーーーーーー(以下、本文)ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

お笑い芸人の『猿岩石』、今となっては懐かしい。
1996年の4月から10月にかけて、テレビの企画で香港からイギリスまでヒッチハイクの旅をした二人組の事だ。
後に、3箇所ほど飛行機で移動していた事がバレて物議を呼んだりもしたが、
まあ、キケンがアブナい地域で無茶をして死なれたら困るだろうし、所詮はバラエティーの演出の一部だろうと思う。
いずれにしても、ワタクシのようなシロートから見れば、リッパな大冒険だった事は事実だろう。


そんな彼らがまだアジアをさまよっていた頃、ワタクシはシゴトで一週間ほどシンガポールに滞在していた。
カワダ、ヤマダ、そしてワタクシの3名で、すでに納入済みの装置の改造工事に来たのだけれど・・・・
新たに持ち込んだ制御基板が正しく動作せず、ニッチもサッチもいかなくなってしまったのだ。
「このやろう、来る前にチェックしたのかよ」
「オマエこそチェックしたのか」
「とにかく、オマエ達が悪い」
客先の喫煙室の片隅で見苦しく責任を押し付けあっても何の解決にもならず、結局、日本から新たな基板を送ってもらう事になった。
「どうするよ。基板が無きゃシゴトが進まないじゃんよぉ」
「進まないって言ったって、シゴトしてるフリしなきゃヤバいじゃん」
「とにかく、オマエ達が悪い」
相変わらず不毛な会話が続く喫煙室。
「せっかくだからさぁ、遊びに行こうぜ」
「遊びにって、どこへ?」
「マレーシア」
「マレーシア? マジで? 何しに?」
「国境を歩いて越えてみようよ。あの猿岩石みたいにさぁ」
「う~む、そりはオモシロそうだ」
「とにかく、オマエ達は正しい」

担当者に
「今後の対策を練る為に、今日のところはホテルに戻ります」
などと思いっきりインチキくさい理由を述べ、ソソクサと客先を逃走する。
そして客先の最寄り駅、MRTと呼ばれる地下鉄のアンモキオ駅に到着。
MRTは後に延長されて山手線のような環状運転となり、今では国境の街・ウッドランズにもMRTで行く事が出来る。
しかし、当時はバスで行くしかなかったのだ。
駅のバスターミナルでそれらしい北のハジッコ行きのバスを発見し、運ちゃんに
「マレーシア? マレーシア?」
などと尋ねてみたものの、運ちゃんは何を言っているのかサッパリ判らない。
でもバスへの乗車が許されたところを見ると、全くのマチガエではなさそうだった。

ほどなく、なんだか妙にノドカな街でバスは終点となった。
そこが何という街だったのか、今となっては思い出せないが、たぶんウッドランズだと思う。
現在のウッドランズは高層マンションが立ち並ぶ大都市だけれど、とにかく当時はイナカだったのだ。
バス停からはなんだかずいぶん歩き、やっとイミグレーションに到着。
パスポートを握り締め、キンチョーの一瞬だった。
なにしろ当時の海外経験は、今回のシンガポールを除けば香港とハワイだけで、どちらも添乗員付きの団体様の中の一人。
しかも日本以外の国から国への国境越えは、全くの初めての経験なのだ。
「よっしゃ、いくぜぇ!」
シンガポール人でもマレーシア人でもないヨソモノ用のゲートはガラガラで、気合を入れるほどの事も無く出国終了。
あとは海を突き抜ける道、コーズウェイをひたすら歩いた。
よくよく見ると、このコーズウェイは橋では無く、両側を海に挟まれた土手道であることに気がつく。
ビッチリとテトラポットに覆われ、小船が通り抜ける水路すら無い。
「なんだなんだ、シンガポールは島ぢゃ無いぞ」
「江ノ島だって島なんだから、島って言ってもイイんじゃないの?」
「江ノ島は橋だけど、コレは橋とは言えない」
「どうだっていいじゃん」
意味のない会話を続けるうちに、マレーシア側のイミグレーションが近づいてきた。
またまたキンチョーしなければならない。

(コーズウェイから見たシンガポール側)
sin2.jpg

イミグレーションのかなり手前で、数人の人だかりが出来ている。
競馬の予想屋のような雰囲気のオッサンが一人で座っていて、マレー系の数名がパスポートを手にソコに並んでいるのだ。
そして予想屋風オッサンは一人一人に、ハガキ大の紙に何かを書き込んで渡している。
「おい、なんだありゃ?」
「判らん。なにやら事前に手続きが必要なんだろうか」
「とにかく我々も並んでみよう」
そして我々の順番がきた。
オッサンはウサン臭そうに我々を見つめ、早口で何かを言った。
どうやら
「オマエら、どこの国のニンゲンだ?」
みたいな事を聞いてきたらしい。
「ジャパニーズ、ジャパニーズ」
オッサンはアゴでイミグレーションの方向を指し示し、アッチに行けという素振りを見せる。
「なんだなんだ、オレらを無視するていうのかよぉ」
オロオロと立ち尽くす我々。
オッサンはイラダチ顔で、何も書き込まないままハガキ大の紙を投げつけるように渡してきた。
それは入国カードだった。
我々がシンガポール入国時に提出した入国カードの半券は、先程のシンガポール出国時に回収されていて、
そしてこれからマレーシアに入国する訳だから、新たに入国カードが必要になる。
恥ずかしながら、そのへんの仕組みがイマイチ思い浮かばなかった我々。
後に判ったのは、この予想屋風のオッサンの正体は代書屋だったらしい。
マレーシアにはまだまだ文盲の人がいて、シンガポールまで出稼ぎに行き来する彼らの為に、代わりに入国カードを書く商売をしていたのだ。

(コーズウェイから見たジョホールバル側)
joho1.jpg

とにかく入国カードを書かねばならない」
「おい、滞在先って何て書けばいい?」
「シンガポール入国の時って、なんて書いたっけ・・」
「ホテルって書きゃイイんじゃないの?」
もう内容は忘れてしまったが、とにかくテキトーに書いて、いよいよマレーシア側のイミグレーションに向かう。
シンガポール側に比べてなんだか貧粗で、私鉄ローカル線の駅のようなたたずまい。
そこにバナナの叩き売り台のような造り付けのテーブルがあり、その反対側に制服を着た係員が立っていた。
まず、先頭はワタクシ。
ロクに荷物を調べられる事も無く、そして何一つ聞かれる事もなく通過が許された。
そのまま建物を出て、いよいよマレーシアの街に第一歩を・・・・
ど・どうした? 後続が来ない!
おそるおそる後を振り向くと、なんだかヤバい展開になっていた。
叩き売り台を挟んで、カワダと係員が激しく叫びあっているではないか。
ヤマダはカワダの横に寄り添い、ただただオロオロとしているだけで、そして叩き売り台の上には、あの制御基板が置かれている。
装置改造の為に客先に持ち込んだものの、正しく動いてくれなかった制御基板。
客先から直接ココに来たものだから、そのままカワダの荷物の中に入っていたのだ。

当時のマレーシアは精密電気機器類の持ち込みにイロイロと制約を設けていて、部品レベルにバラされたモノにも目を光らせていたらしい。
それに、カワダの制御基板が見事に引っかかってしまったのだ。
ちなみにカワダという男は日本人離れした顔立ちが災いし、後に韓国のイミグレーションでも引っかかっている。
その時は強制退去させられてしまった位だから、とにかく筋金入りのイミグレーション男らしい。
どうしよう。ヤツラがどこかに連行されたりしたら・・・・・・・
さっそくカワダの加勢に戻ろうとして、思わず足が止まる。
ワタクシの荷物の中には大量のタバコが入っていて、ヘタに戻って調べられたらヤブヘビになりそうな気がしたからだ。
「全員捕まったらシゴトが出来なくなる。ココは一人でも残って踏みとどまらねば」
などと都合のいいイイワケをココロの中でホザき、イミグレーションから離れて様子を伺う事にする。
シンガポールと異なり、道端にはタバコの吸殻やゴミなどが散乱し、なんだか町並みも薄汚い。

ふいに、どこからともなく現れた3人の男に取り囲まれた。
「*******、タクシー?」
どうやら白タクの斡旋らしい。
彼らはとにかく執拗で、「ノーサンキュー」と言っても離れようとしない。
ああ、何という所に来てしまったのだ。
ついさっきまで滞在していたシンガポールが、平和でキレイで妙に懐かしく思えたりした。

sintizu.jpg


この記事へのコメント

  • ジュン

    まぁ~ドキドキ!
    個人の行動は大変
    どうなるのかしら
    2023年05月31日 10:46
  • 中村裕司

    私もシンガポールの自由旅行に行った際にオプショナルツアーで、ジョホールパールに行きました。
    その際、橋の所で、トラックの荷台に人がいっぱい乗っているのを見かけました。人夫出しみたいなもんかなあと思いました。
    2023年05月31日 22:46
  • おぎひま

    ジュンさん、コメントありがとうございます。


    どうにか無事に脱出できました。
    今となっては、良い思い出です。
    2023年06月01日 10:14
  • おぎひま

    中村裕司さん、コメントありがとうございます。


    荷台に大勢乗ったトラック、、、
    そのまんま高速道路を走っているのも見かけました。
    都市国家と発展途上国とが同居している、フシギな国でした。
    2023年06月01日 10:16
  • 山ちゃん

    こんにちは!
    いや~あっ、歩いて国境越えとは危なっかしい事をされましたが、安全な国で良かったですね。でも、言葉や文字が書けなくてもイミグレが通過できるとは驚きました。
    以前、ソウルオリンピックの会場から一筋間違った通りを歩いていたら、銃を持った憲兵のような人に拉致された事がありました。
    2023年06月03日 16:35
  • おぎひま

    山ちゃんさん、コメントありがとうございます。

    若気のイタリでチャレンジしました。
    韓国で拉致ですか!
    まだ、怪しげな発展途上国寄りはマシでしょうけれど、
    ワイロを要求されたりしませんでしたでしょうか。
    2023年06月04日 11:04

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